その弱く、消えてしまいそうな声が不憫でたまらない。抱き締める腕に力を 込め、どうか、この子に間違いなく自分のこの思いが伝わるようにと祈らずに はいられなかった。 「当たり前だろ。おまえはオレの子だ。ここはおまえの家じゃないか。親子が 一緒にいなくてどうする? オレは絶対に手放さない。オレはおまえを幸せに するために生きて来たぐらいの気でいたくせに、肝腎なことを忘れて、おまえ を苦しませてしまった。悪かった。オレが一番、悪かった。これから先は何が あっても、まず、おまえを信じる。おまえの言うことなら何でも信じる。宇宙 人でも幽霊でも神でも悪魔でも何でも信じる。石頭だけど、おまえのためなら 何でも信じる。どんな努力でもする。だから、これからは何でもオレに話して くれよ、楓」 楓は麻木に抱かれたまま、身動ぎもしなかったが、やがて、麻木の胸で小さく 笑った。 「無理しないでいいよ。そんなことをしたら、お父さんがお父さんでなくなる もの」 柔らかな声。ずっと側で聞いていたいような。麻木は半ば、うっとりとして、 だが、すぐに異変に気付いた。胸元に感じる楓の吐息がふいに温度を上げたの だ。不穏なものを感じ、楓を見た。 「楓?」 その身体が熱く、ぐにゃりと滑り落ちるのを麻木は辛うじて抱き止める。 「楓?」 もう一度、呼び掛けると楓はわずかに唇を動かしたが、声はなかった。 |